日本でも検討され始めた共同親権 スペインでの運用やメリットとデメリットについて

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日本では両親が離婚した場合母親か父親のどちらか一方が親権を持つ単独親権が採用されています。

でも最近シングルマザー家庭の貧困や虐待の増加が社会問題になっているうえに、離婚後も子供に会いたいと願う父親が増えたこともあり共同親権が検討され始めてきていますね。

じつは日本以外の国、しかも欧米ではほとんどの国が共同親権を採用していて、わたしが暮らすスペインでもよっぽどどちらかの親に重大な問題がない限りは離婚後共同で親権を持つことになっています。

スペインに来たばかりの頃は共同親権の制度に疑問を感じていたわたしですが、今ではもし万が一離婚することがあるなら共同親権になる方が絶対いいと思うようになっています。

そこでここではスペインの事情を交えながら共同親権について説明していきながら、私なりに考えるそのメリットやデメリットを紹介したいと思います。

共同親権は子どもの権利を守るための制度

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共同親権というのは簡単に言うと離婚した後も子供を母親と父親の2人で育てていくための制度です。

日本では離婚すると母親が子供を引き取るケースが圧倒的に多いですが、最近は離婚後も子供に会いたいと考えるお父さんも増えてきています。

これが日本で共同親権に注目が集まるきっかけになり、さらにシングル家庭の貧困や虐待の問題も絡んで離婚後も子供に関して両親が責任を負い続ける方がいいのではと考える人が増えたことで真剣に検討されるようになりました。

でも共同親権というのは親が子供に会う権利を守るためのもののではなく、子供が母親と父親両方に合う権利を守るために考えられた制度です。

家の子供たちを見ていて感じるのが、たとえ毎日小言ばっかり言ってるお母さんでも、休日家でスマホばっかりいじっているお父さんでも、子どもは無条件に大好きだし傍にいてほしいと思っているということです。

両親は離婚という選択をしたとしても子供たちにとっては大好きなママとパパ両方に定期的に会える環境ってとても大切なのではないでしょうか。

共同親権について“浮気した父親に合わせたくない”や“分かれたパートナーに会いたくない”といったマイナス意見が出ることもありますが、これって全部大人の都合ですよね。

突然両親が別れることになった子供の立場になって考えると、単独親権と共同親権どちらがいいか自然と答えは出るのではないでしょうか。

スペインでの共同親権の運用

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ここでは一つの例としてスペインで共同親権がどんな風に運用されているのか紹介しておきたいと思います。

離婚する時に裁判で子供に関することを細かく取り決め

スペインでは離婚するには絶対に裁判をしないといけません。

そして裁判で一番の重要事項が子どもに対する取り決めです。

裁判では子供が何曜日にどちらと過ごすかや長期休暇の間どうやって過ごすかなど、母親と父親が子供と過ごす割合をかなり細かく取り決められます。

この取り決めは離婚する夫婦の同意によって決められるか、もし同意できない場合は裁判官が強制的に決定することになります。

そして離婚後は基本的に裁判で決まった通りに子供たちは生活を送ることになりますよ。

よくあるケースが

・子供は平日母親と暮らし、週末は隔週で母親と父親の家を行き来する。長期休暇は7月は母親の家で、8月は父親の家で過ごす。

・子供は母親の家と父親の家を1週間ごとに行き来する。長期休暇も半々になるように日にちを分ける。

になります。

1週間ごとに母親の家と父親の家を行き来すると聞くとちょっとびっくりするかもしれませんが、スペインでは本当によくあるケースだったりします。

娘が前に通っていた幼稚園にも週のうち4日を母親と、3日を父親と過ごしているという子がいましたよ。

子供のために使うお金を毎月母親と父親が決まった額を共通の口座に振り込む

裁判で取り決められるのは子供と過ごす日数だけではありません。

子供に必要なお金を両親共にどれくらい払うのかについても重要な事項になります。

たいていの場合は両親双方が決められた額を毎月共通の口座に振り込み、衣類や学校で必要な物それに習い事などの費用をそこから支払うという方法がとられます。

振り込む額は収入や子供と一緒に過ごす割合などを考慮して取り決められます。

例えばもし母親が1年の大部分を子供と過ごす場合は、普段養育をしない分父親が多く金額を出すことになりますよ。

ここで取り決められた金額は何が何でも絶対に支払う必要があり、日本のように養育費を滞納することは許されません。

経済的にも離婚後も変わらず両親が一緒に子供への責任を果たしていくことになりますよ。

スペインで感じる共同親権のメリットとデメリット

最後にスペインで実際に目にしてわたしが感じる共同親権のメリットとデメリットをあげていきたいと思います。

メリットもデメリットも親の立場ではなく子供の立場から見た場合で考えていきますよ。

共同親権のメリット

まずは共同親権のメリットからです。

・子供が母親と父親両方と安定した関係を築ける

・離婚してからも子供にかかる費用は両親共に出す

やはり両親が離婚してからも、子供がずっと両親からの愛情を変わらず受けられるというのが最大のメリットなのではないでしょうか。

スペインは普段から子育てに積極的にかかわる男性が多く、離婚後もできるだけたくさん子供に会いたいという父親が圧倒的多数をしめます。

母親に相談しやすいことと父親に相談しやすいことって微妙に違ってくるので、成長していく中で必要なタイミングでいつでも両方の親と触れ合えるのは重要ですよね。

そして経済的にも母親と父親両方からのサポートがあるのも大きいです。

そうすることで自然に子どもの教育や将来に関する可能性がも広がって行きますよね。

共同親権のデメリット

デメリットで思い浮かぶのは次のことです。

・母親と父親の家を行き来する場合、子どもの生活環境が落ち着かない

上であげた子供が1週間ごとに母親と父親の家を行き来するというのは、スペインでも賛否両論あります。

子供が一体どこが自分の家なのか混乱したり落ち着かなかったりするのではという意見もあります。

わたしも実際これを最初にきいたときかなり驚きました。

でも両親が子供と過ごす時間をきっちり半々要求した場合、これ以外の解決法がなかなか見つからないのが現状のようです。

まとめ

共同親権については賛否両論かなり色々な意見があると思います。

ただ個人的には子供の生活を守ることにつながるいい制度だと感じていますよ。

まあ元パートナーとのやり取りはスペインでも憂鬱に感じる人が多いようですが、子どものためには仕方がない面もあるとみんな諦めていますよ。

日本でもこれから共同親権が採用されるようになるかどうかはわかりませんが、離婚した家庭の子どもたちがより幸せに暮らせるよう今の制度を変えていくのは必要ではないかと思います。

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