マドリードから電車で約40分くらいの場所にあるアルカラ・デ・エナレスは大学都市として発達してきた閑静な街です。
街の中心部とかつての大学は「アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区」として世界遺産にも登録されていて、マドリードからの日帰り旅行にも人気です。
そんなアルカラ・デ・エナレスの歴史地区のメイン通りであるマヨール通りには、スペイン文学の傑作である『ドン・キホーテ』の作者であるミゲル・デ・セルバンテスの生家が残っていて博物館として公開されています。
無料で入れるこの博物館はまるで16世紀のスペインの家と生活をそのまま保存したようになっていて、当時のスペイン人の生活をのぞき見できる興味深い場所なんですよ。
ここではそんなセルバンテスの生家の入場レポートをお伝えしていきます。
セルバンテスの生家ってどんなところ?
トップにある写真はセルバンテスの生家の入り口です。
ドン・キホーテとサンチョ・パンサの像が座るベンチが目の前にあり、ここがちょっとした撮影スポットになっていたりもします。
入り口をくぐると井戸のある小さなパティオ(中庭)があるのですが、その左手にあるドアから見学を始めますよ。
1階にあるのは歯医者の診療室と台所
入ってすぐのところの部屋は当時の歯医者の診療室になっています。
足を上に上げられたりおそらくリクライニングもできるであろうイスや薬品の並ぶ棚などがあります。
全て木製で治療用の器具などはないものの、ちゃんと歯医者さんらしい雰囲気を醸し出していますよね。
なんで家の中に歯医者さんがあるのと不思議に思ったかもしれませんが、実はセルバンテスの父親は歯科医でここで診療を行っていたようです。
診療室を抜けると次に現れるのは大きなダイニングキッチンです。
16世紀のスペインって暖炉の中でこんな大きいお鍋を使って料理していたんですね。
お鍋だけでなくオタマなどの調理器具も大きくて興味深いです。
またダイニングスペースにある立派な木製の長テーブルは重厚感があるかなり立派なものでしたよ。
2階にあるのは寝室やトイレなどの生活スペース
キッチンを抜けると狭い階段を上って2階に進みます。
2階は吹き抜けの回廊になっていて寝室やちょっとしたミュージアムの小部屋が並んでいますよ。
2回から見たパティオがまた可愛らしかったです。
まず最初に入るのは女性用の部屋になります。
この時代のスペインって男性と女性が別々の部屋で寝起きしていたようですね。
こちらはお手伝いさんの部屋で、
こちらが奥さんの部屋ですね。
そしてお手伝いさんと奥さんの部屋の隣には多分子ども用と思われる小さなベッドもありましたよ。
この次に入った部屋にあったのがこちらです。
穴の開いたイスの下に壺が置いてありますが、これ当時のトイレらしいですよ。
家具に見事にマッチしているのでよく見ないとトイレと気付かないです。
家の外ではなく中にあるというのも興味深いですよね。
そしていよいよこちらが男性用の主寝室になりますよ。
女性の部屋より寝具が豪華になっていて、書き物ができる机なども置かれています。
どの家具もレトロでめちゃくちゃかわいいですね。
また写真では伝わりにくいかもしれませんがベッドをはじめ全ての家具がとっても小さいんです。
昔の人って現代の人たちに比べるとかなり体が小さかったんだろうなと思わずには居られませんでしたよ。
セルバンテスの人形劇ミュージアム
2階の最後の部屋は人形劇のミュージアムスペースになっています。
セルバンテスは『ドン・キホーテ』などの小説以外にも人形劇の脚本も手掛けていたようですね。
どんなお話なのかはよくわからないものの、当時はスペインで本当に上演されていたようですよ。
大掛かりなセットの中にお姫様なんかもいたりして面白そうですよね。
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まとめ
セルバンテスの生家を見てみて最初に浮かんだのが、セルバンテスって結構良家の出身だったんだなという感想でした。
調べてみたら下級貴族の出身だったんですね。
ドン・キホーテが貧しい郷夫だったのもあって勝手に作者のセルバンテスも同じような境遇の人だろうと思い込んでいたので驚いてしまいました。
セルバンテス一家はアルカラ・デ・エナレスに永住していたわけではなく、セルバンテスの幼少時代はスペイン各地を転々としていたようです。
ただセルバンテスがアルカラ・デ・エナレスの教会で洗礼を受けたというのは記録に残っていて、この場所が生家だろうとされているんですよ。
セルバンテスとの所縁はもちろん16世紀の住居が当時と変わらぬ姿で残っているというのも興味深かったりします。
もしマドリードに来られるなら、ぜひアルカラ・デ・エナレスまで足を伸ばしてみてくださいね。
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