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このブログでこれまでにも何度かスペインの新型コロナウイルス情報について書いているのですが、昨日(3月9日)に大きな動きがあったのでお伝えしたいと思います。
これからスペインに旅行や留学を計画されている方は確認しておいてくださいね。
3月9日の午前中スペイン政府が新型コロナの感染が広がっている地域で新しい対策を打ち出すと発表しました。
そして夕方になってマドリード県全体とバスク地方のヴィトリア、ラバスティダそれにバスクとナバーラにまたがるリオハという3つの町の学校が閉鎖されることが決まりました。
マドリードでは学校閉鎖だけでなくリモートワークが推奨され、さらに不要不急の旅行も避けるように通達が出されています。
スペインの中で特に首都マドリードの緊迫感が相当増してきている状況ですよ。
3月11日現在のスペインの新型コロナウイルスの感染情報

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3月11月現在スペインの新型コロナウイルス感染者は1,500人に迫る勢いで、死者も30人を超えています。
そしてスペイン国内の感染で初期から突出しているのが首都マドリードの感染者数です。
マドリードだけで800人近い感染者がいて全体の60%もの割合をしめ、死者も20人以上と被害がかなり広がっているんですね。
やはり首都で国境を越えた人の出入りが活発なのに加えて、教会や老人施設で次々と集団感染が起きたことも大きな要因になっているでしょう。
でもそれにしても多いんです・・・。
わたしも含めマドリード県で暮らしている人たちはいつ自分が感染するかという不安を抱えながら毎日を送っている状態です。
そしてマドリードの次に感染者が多いのがバスク地方で、しかもヴィトリアという町に集中しています。
理由はお葬式で集団感染が起きたからなのですが、それでも200人に迫る感染者数は外の地域を大きく引き離していますよ。
またバスク地方の次に感染者が多いリオハも小さな地域にもかかわらず100人以上の感染者を出しているので心配です。
リオハの次に感染者が多いのはバルセロナのあるカタルーニャ州なのですが、4つの県を合わせて感染者数が100人ちょっとということでまだそれほど問題になっていません。
ただ先週から感染者数が倍増していることは確かなので、今後バルセロナがどうなるのかも注意して見ておく必要がありそうです。
マドリードで打ち出された新型コロナウイルス対策

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感染者数がうなぎ登りで増えていく中これまでスペイン政府は“感染は広がっているもののコントロールできている”という認識を示していました。
でも3月9日になって“スペインの一部の地域で感染が危険水域になっている”と認識を変え、マドリード県で大掛かりな対策が発表されています。
ここではその内容を紹介しておきますね。
マドリード県の保育園から大学まで全ての教育機関を15日間閉鎖
まず一番市民に衝撃を与えたのがマドリード県の学校の休校措置です。
マドリード県では3月11日から3月25日までの15日間、幼稚園から大学まで全ての教育機関が閉鎖されることになりました。
今日(3月10日)が最後の登校日だったのですが、うちも含めて今日から休ませる家庭も結構あったようです。
現在ネット授業なども検討されているようですが、今のところはっきりしたことはわかっていません。
今後学校から学生や保護者に休校中の学習について連絡が来るものと思われます。
休校措置は当初マドリード県とバスク地方のヴィトリア、ラバスティダさらにリオハだけだったのですが、他の自治体でも休校を考えているところが出てきているようですよ。
3月13日追記:マドリードとバスクだけでなくスペイン全土の学校が休校になることになりました。
政府は自宅で学習できる環境を整えると約束しています。
実際マドリードでは休校から2日経った13日に各学校から家庭に学習教材などが送られてきています。
ただ学校側も急な休校で混乱していたようで、どうやって家庭学習を進めるか探り探り進めているような感じになってしまっています。
企業にはテレワークを推進し会議の中止を要請
マドリード政府は少し前から企業に可能ならテレワークを導入するように通達を出していたのですが、今回またそれが強調されました。
休校で子供達が家で過ごすようになることも考慮して、テレワークや従業員の勤務時間を柔軟に調整するように言われています。
また感染対策として会議もできるだけ避けるようにとされていますよ。
1,000人以上の集会を禁止
マドリードやその他感染が多いバスク地方のヴィトリア、ラバスティダでは1,000人以上の集会を開くことが禁止されました。
イベントはもちろんスポーツの試合も含まれています。
これはスペインの前にフランスやドイツも打ち出している対策ですね。
というかこの前の日曜日にマドリードで国際女性デーのためにフェミニストたちが数万人のデモ行進を行っていたのですが、あそこに一人でも感染者がいたとしたらこれから大変なことになるんじゃないかなとかなり心配です・・・。
3月12日追記:やっぱりというか、デモに参加していた女性大臣が今日になって新型コロナウイルス陽性になりパニックの様相です。
この大臣は政府の副総理のパートナーなのもあり、もう政府に蔓延しているんではないかと首相はじめ閣僚全員検査を受けているところです。
マドリード州政府が出した感染拡大阻止のための10個の対策を拒否したこの政府、さすがにこれで本気で対策を考える気になったでしょうか・・・。
マドリードの公共交通機関の車両を毎日アルコールで清掃
マドリードは電車や地下鉄それにバスの路線や運行数が多く、通勤にこれらの公共交通機関を使っている人が多いです。
当然バスや地下鉄での感染も懸念されるのですが、電車や地下鉄それにバスの車両を毎日アルコールの消毒液を使って清掃することが発表されました。
今まで毎日清掃してなかったのと余計なことが気になりますが、よく利用する人にとっては少し安心できる内容ですね。
政府主催の高齢者向けツアーがキャンセルされる
スペイン政府は退職した高齢者向けにオフシーズンに安い費用で参加できる観光ツアーを行っています。
それがこの新型コロナウイルスの広がりにより、ツアーが全てキャンセルされることになりました。
お年寄りの集団感染が続いたマドリードではすでに老人ホームが半隔離状態になっていて、さらに元気なお年寄りの交流サロンが閉鎖されています。
この高齢者向けツアーの中止も重症化するお年寄りを感染から守るための措置のようですね。
3月12日追記:プラド美術館、ソフィア王妃芸術センター、ティッセン=ボルネミッサ美術館が閉館に
マドリードを代表する観光地であるプラド美術館、ソフィア王妃芸術センター、ティッセン=ボルネミッサ美術館が閉館になりました。
いつから再開されるのかについては明らかにされていません。
3月12日追記:マドリード県内の公園の子供が遊ぶスペースが閉鎖されている
マドリード県内の公園内にある子供が遊ぶ遊具があるスペースが閉鎖されていっています。
学校が休校になった後子どもたちの体調が良ければ公園に行くのは構わないが遊具では遊ばないようにと連絡が回ってきていたのですが、きっと遊具で遊ぶ子供が後を絶たなかったんでしょうね。
今はやっぱり我慢する時でマドリードはイタリアみたいになるか踏ん張れるかの瀬戸際なので、これも仕方ないんではないかと思います。
3月13日追記:レストランやバルそれにディスコを閉鎖
マドリード政府は3月14日からバルやレストランそれにディスコを閉鎖すると発表しました。
いつまでこの措置が継続するのかについては明言されていません。
スペイン政府はイタリアからの直行便の発着を25日まで禁止に

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学校の休校で保護者が右往左往している中、スペイン政府はイタリアからの飛行機の直行便の発着を25日まで禁止にすると発表しました。
スペインで新型コロナウイルスの感染が明らかになった初期のころはほとんどがイタリアから持ち込まれたものだったので、まあこれは妥当な処置かなと思います。
どうやらスペイン政府は25日までに人の活動をできるだけ抑えることで、なんとかこれ以上の感染拡大を食い止めたいと考えているようですね。
リーガ・エスパニョーラの試合が無観客で開催されることに
政府がマドリードなどで1,000人以上が集まるイベントを中止するよう呼びかける前に、サッカーリーグのリーガ・エスパニョーラは次節とその次の節の1部と2部の全ての試合を無観客で行うと発表しました。
リーガの選手が沢山加盟している選手組合がリーガ側に全てのカテゴリーの試合を中止するよう要求したことが発端だったのですが、リーガ側は2節の無観客試合という決定に至ったようです。
無観客試合になるのはとりあえず28節と29節だけなのですが、今後の新型コロナウイルスの広がりによってはその後の試合も無観客試合が続けられる可能性があります。
3月12日追記:レアルマドリードが同じ敷地内で練習をしているバスケットボールリーグチームから1人新型コロナウイルス陽性になった選手が出たことから、練習を中止したうえで今後2節の試合を中止(おそらく延期で日程が組まれる)にしました。
サッカー選手とバスケットボール選手の間に直接交流があったのかどうかは不明なんですが、大事を取っての処置だろうと思われますよ。
有名選手が陽性になったらただでさえ混乱している中さらにショックが広がりそうで心配です。
スペインの人たちの生活の様子は?大手スーパーが落ち着くよう呼びかけ

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スペインの人たちは昨日までウイルスを警戒しつつもまだのんびりしていたのですが、政府が休校を決断して一夜明けた今日マドリードがパニック状態に陥っています。
スーパーの棚から食料品やトイレットペーパーが消えた
今日常備薬を補充しておこうと思って薬局に行った帰りに、近所にある小さいスーパーに寄りました。
このスーパーはいつもガラガラなのですが、今日は今までに見たことがない程混んでいて商品がなくなった棚に従業員の人が総出で品出しを行っていました。
牛乳やトイレットペーパーそれにキッチンペーパーがほとんどなくなっていたので驚いたのですが、とりあえずフルーツなど必要だったものは買えたのでこの時はあんまり気にしてなかったんです。
でもしばらくして子どもの学校のクラスの保護者のグループチャットに大型スーパーのメルカドーナの店内が空になっているという投稿が写真とともに送られてきてみんな騒然となりました。
フルーツもお肉も牛乳も水もペーパー類も、とにかく全部なくなってしまっているようです。
新型コロナウイルスが広がりだしたころから買いだめをする人が増えたのか全体的にスーパーが品薄状態だったのですが、大型スーパーで食料品や日用品が売り切れるなんてことはさすがにありませんでした。
それが今日政府がウイルスへの警戒段階を上げたことで、マドリードの人たちがパニック状態になってしまったようですね。
この異常事態を受けてか大手スーパーが“食料品の在庫は十分あるため落ち着くように”と声明を出しています。
今日わたしが行った小さなスーパーでも店員さんが“足りないものがあってももうすぐ配送のトラックが来るから心配しないで”と言っていたので実際倉庫に物は足りてるんだと思います。
それでも人間追いつめられるとどんな行動をとるかわからないことを見せつけられてちょっと怖いですね。
ただグループチャットのママ達も“そんなに買っても賞味期限切れるだけなのにみんな何を考えているんだろう”と不思議がっている人が多かったので、冷静な人も沢山いるのは確かです。
でもこうなる前に水や缶詰などある程度買いだめしておいてよかった・・・。
3月12日追記:10日に空になったスーパーですが、12日にはほとんどの商品が戻り落ち着きを取り戻しつつあります。
一時は中国が10日間で病院を作ったことにかけてスペインは10日でスーパーをつくるんじゃないかという自虐ジョークも飛び出していたのですが、とりあえず買い占めに関しては一旦収まったようですね。
休校についてはみんな問題なく受け入れている様子
スーパーは大変な状態になっていますが、いきなりの休校措置についてはみんな冷静に受け入れています。
グループチャットでも驚きの声は大量に上がっていましたが文句を言っている人はいませんでした。
スペインは共働き世帯が圧倒的に多いのですが、仕事が休みやすいのとおじいちゃんおばあちゃんの近くに住んでいる人が多いので何とかなる人が多いんだと思います。
近くに頼れる家族がいなくても、休校期間の15日くらいだったら最悪バカンスをとってなんとかなりますからね。
その点日本のママやパパより調整が効きやすいんでしょうね。

まとめ
スペインの特にマドリードは新型コロナウイルスの感染拡大と政府の大掛かりな政策で現在かなり混乱しています。
15日間の自粛で感染が収まってくれたらいいんですけどね。
今のところ4月にあるセマナ・サンタ(スペインのイースター。イエス・キリストや聖母マリア像をのせたお神輿が町を練り歩くお祭り)は通常通り開催すると政府は言っているのですが、民間の人はちょっとあきらめムードです。
もし状況が今と変わってなかった場合にセマナ・サンタのお祭りを決行すると、今は感染が少ないアンダルシア地方まで感染爆発地域にしてしまう可能性があるので慎重に対応してほしいと頃ですね。(イースターのお祭りはアンダルシアが本場)
日本のニュースでイタリアやフランスの状況については沢山情報があるものの、スペインのニュースがほとんどないのが気になってここにまとめています。
スペインは日本からの観光客も多いのでニュースが気になっている方も沢山いるのではないでしょうか。
これからスペインにくる方は十分注意して最新情報を収集してくださいね。
スペイン在住の方は、一緒に注意しながらこの状況を乗り越えていきましょう。
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