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新型コロナウイルスの感染者が急速に広がったスペインでは3月14日に緊急事態宣言が出されました。
スペイン全土での一斉休校や生活必需品の買い出しと出勤以外での外出禁止、レストランやバルなど飲食店の営業中止など、感染拡大を抑えるための相当厳しい措置がとられています。
外出禁止令が出てからまだ1週間も経っていないのもありまだまだこの対策の効果は出ていません。
未だに感染者は前日比20%前後で急激に伸びていって、死者がついに1,000人を超えてしまいました。
このブログではスペインの観光情報や生活の様子などをメインにお伝えしているのですが、寝ても覚めてもコロナコロナの今、楽しい情報を書く気にはなかなかなれなかったりします。
自分の頭と心を落ち着かせるためにも、街全体が暗く重苦しい空気に包まれているスペインの今の様子をお伝えしていこうと思います。
新型コロナで緊急事態が出たスペインの様子
まずは新型コロナで緊急事態宣言発動となったスペインの様子を紹介しましょう。
現在スペイン全土でレストランやバルそれに商業施設が閉鎖され外出禁止令が出されていため外を歩いている人がほとんどいなく繁華街も閑散としています。
外出していいのは
・食料品か薬を買いに行く場合
・犬の散歩する場合
・ごみを捨てに行く場合
・仕事に行く場合
だけになっています。
4月にある伝統的なセマナ・サンタのお祭りもキャンセルになり、リーガ・エスパニョーラの試合も休止になり小さな子供達も含めてみんなが家の中に閉じこもっている状態です。
引き続き一番深刻なのがマドリード
わたしが暮らしているのはマドリード県にあるアルカラ・デ・エナレスという町です。
マドリードは新型コロナウイルスの感染がスペインで広がりだした当初から感染者が他の州と比べ物にならないくらい沢山いました。
現在は他の州の感染者も増えてきているのですが、一時はスペイン全体の感染者の半分以上がマドリードだったくらいです。
今は多分検査が追い付いていないのもあってマドリードの感染者数の伸びは収まっているように見えるのですが、患者数が増えすぎて病院が混乱していることもあるのか死者の数がスペイン全体で1008人なのに対してマドリードで628人と桁違いに多くなっています。
旦那が働いている会社など身近なところからも犠牲者が出ていて、このウイルスの怖さが日に日に迫ってくる感じですね。
ここにきてカタルーニャの感染者が急増
スペインきっての観光地であるバルセロナがありながらずっとさほど多くない感染者数で推移していたカタルーニャ州だったのですが、ここ数日で感染者・死者ともにかなりのペースで増えてきています。
カタルーニャは感染者がクラスターが発生した地域を封鎖したりとマドリードより厳しい対応をとっていたのですが、やはり人の動きが多いところではなかなか感染を抑えるのは難しいようですね。
カタルーニャ以外の州でも感染者は日増しに増えてきていて、スペイン中が今のマドリードみたいになったらと考えるとかなり怖いです。
病院はパンク状態で政府がホテルを病院化
マドリードにある全ての病院が現在パンク状態になっています。
わたしの住んでいる町でも救急外来のある大きな病院では全ての科で患者の予約をキャンセルしてコロナウイルスの感染者やその他の救急患者にだけ対応しています。
町にいくつかあるファミリードクターがいる診療所もいくつかは予約殺到で機能しなくなり、他の診療所に患者を回すような状態になっているようです。
スペインは持病で薬が必要な場合半年分のデジタル処方箋を保険証に登録してくれるのですが、今処方箋が切れたら一体どうしたらいいのかかなり心配です。
わたしはあと数か月分は処方箋が残っているはずなんですがはっきり覚えていない・・・。
こんな状態なのもあり政府はマドリードのホテルを数件借り切って軽症者用の病院にしています。
これでベッド数の問題は何とかなりそうなのですが、マドリードでは既に医療関係者用のマスクや防護服なども不足していて医療が危機的な状態に陥っています。
希望者全員検査が導入される見通し
スペインではこれまでコロナのような症状が出たら病院に行く前にまず専用番号に電話をし、自宅で検査を受ける仕組みになっていました。
最初の頃はほぼみんな検査をしていたようなのですが、感染者が増えた今は重症者だけ検査をし軽症の人は自宅待機のような形になっています。
ただWHOが全件検査を推奨したことと、軽症者が仕事場などで感染を広げている懸念が広がったことから、近々希望者全員に検査する方向で政府が動いているようです。
ただ簡易検査キットがいつ届くかまだ分からないようで、実際に実施されるまでにはまだ数日かかりそうな感じですね。
食料品店やスーパーそれに薬局では新型コロナ対策を徹底
今スペインで開いているお店はスーパー、八百屋さんやお肉屋さん等の食料品店、薬局だけです。
そしてそれぞれの店舗ではかなり厳しい新型コロナ対策が実施されています。
一番最初に大々的な対策を打ち出したのが、スペインの大手庶民派スーパーのメルカドーナでした。
・従業員全員にマスクとビニールの手袋を配布
・店内に同時に入れるお客さんの数を制限し、定員に達したら外で1m以上の間隔をあけて並んで待つ
・1家族につき1人だけ入店できる
・レジに並ぶ列の間隔も1m以上開ける
・入り口でお客さん用にもビニールの手袋を配布する
・支払いは現金不可でクレジットカードのみ
といったもので、メルカドーナ以外のスーパーも現在同じような対策をとっています。
スーパー以外の薬局や八百屋さんといった小さなお店では、注文する人以外はお店の外で順番を待つようにしているところが多いですよ。
そしてお店の外で待っている人もおしゃべりを全くすることなくそれぞれの間隔を大きく開けています。
このようにスペインの人は相当危機感を持って新型コロナに向き合っていますよ。
マドリードの現在の町の様子
緊急事態宣言が出されてから今までゴミ捨て以外外出していなかったのですが、今日食料品が少なくなってきたこともあり始めてスーパーに買い出しに行きました。
外出禁止になって以来道を歩いている人はほとんどいないし車もほとんど走っていないのですが、スーパーや食料品の小売店には結構たくさん人がいます。
わたしは買おうと思った時にはもうマスクが売り切れていて買えなかったのですが、その代わり鼻と口にスカーフを巻いて外出しました。
たまに道ですれ違う人やスーパーで買い物をしていた人も大体みんなわたしのように鼻と口を覆っていたり、マスクをしていたりとそれぞれに対策していましたよ。
これまでスペインでマスクをしている人なんて見たことなかったのでちょっと驚いたのとともに、みんないつの間に買ったんだろうと不思議に思いました。
スーパーの棚は引き続き品薄
緊急事態宣言が出される少し前、マドリードでは休校措置がとられた頃からスペインのスーパーでは食料品やトイレットペーパーの買い占めが起こり棚が空っぽになるという事態が発生しました。
今日久しぶりにディアというスーパーに行ったのですが、食料品はある程度揃っていてほしいものはほとんど全部買えたので安心しています。
ただパスタやペーパー類は相変わらず品薄のままで、ヨーグルトや食パンも売り切れのものが多かったです。
メルカドーナは混んでるだろうと思ってディアというスーパーに行ったのですが、入場制限なしにすっと入ることができましたよ。
ただお客さん同士はお互いに距離を取り、レジでも一人一人が立つ場所に距離を開けて線が引かれていました。
普段はレジで店員さんとお客さんが世間話することもあるのですが、一切そんな雰囲気はなくみんな粛々と必要な物を買って急いでお店から出ていくという感じでしたね。
公園は閉鎖
これは休校になってすぐからそうだったのですが、公園の遊具にテープが張られて使えなくなっています。
せっかくやっと暖かくなってきたのに、外で遊べない子どもたちがかわいそうになります。
うちの子供2人も家の中で暇を持て余して、やれ「外で遊びたい」や「学校に行きたい」など毎日のようにぶつぶつ言っています。
ただ子供も“新型コロナで大変なことになっている”というのはちゃんとわかっているようで、今は絶対外に出られないことも納得してくれてはいるようですよ。
スペインの学校休校に伴うリモート学習
マドリードにある学校全ての休校は緊急事態宣言が出される前に決定・実施されていました。
発表から休校まで中1日というスケジュールだったのもあり、休校当日には休校中の勉強をどうするのか全く分からなかったんですよね。
ただ休校から2日経った頃、学校から保護者宛にメールが届きました。
その内容は政府が休校中も学習環境を提供すると約束したこともあり、毎日メールや保護者用のブログで学習教材を送ることになったというものでした。
それから毎日プリントや先生が撮影した授業のビデオなどが届くようになり、子供達も午前中はそれに取り組むというのが毎日のルーティーンになっています。
ただ家にプリンターがない人は手書きで対応していたりして大変みたいです。
コピー屋さんは閉まっているし、紙やプリンターは消耗品だけどお店が閉まっていて補充できないしで、この状態が長く続くのは流石に大変そうです。
かといって配送も止まっているので共通テキストなどを家庭に送ることもできないし難しいですね。
中国みたいにオンラインで授業できるほどデジタル化されていたらいいのですが、幼稚園児はともかく小学生から大学生はカリキュラムが遅れて大変だろうなと思います。
でも感染が落ち着くまで休校にするのは個人的に大賛成です。
学校の授業も大切ですが、やっぱり健康はしかも子どもたちの健康は何物にも代えられないですよね。
こんな状態でも楽しむ心を忘れないスペインの人たち
新型コロナへの心配と外出禁止のストレスで普段の陽気さが鳴りを潜めているスペインの人たちですが、こんな状態でも楽しもうといろいろな動きが広がっています。
SNSで無作為に広がった呼びかけによって夕方7時にみんなが窓際に立って拍手をしたり、見るといいことが起こるといわれる虹の絵を描いて家の中に飾ったりといった活動が広がっているんですよ。
こんな状態でもなんとか楽しみを見つけようとするのはさすがスペイン人だなとうらやましく思います。
まとめ
スペインの感染者増加のペースは1週間前のイタリアより大きいのですが、今スペイン全土で医療関係者はもちろん一人一人の人が何とか感染を抑えようと自分にできることを真剣に実行しています。
だからこそ感染が広まりだした初期のころのスペイン政府の無策が悔やまれますね。
この何週間かで最も厳しい時期を迎えるといわれるスペインの状況ですが、何とか少しずつでも良くなっていってほしいです。
わたし自身もいつ感染してもおかしくない状況ではあるものの、手洗いなどできることはしっかりやりつつ休校で家にいる子どもたちと1日1日を大切にできるだけ楽しく送っていきたいと思っています。
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