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スペインに来て驚いたのが、スペインの人の名前が日本はもちろんイギリスなど他の欧米の国の人ともかなり違っていることでした。
ペネロペ・クルスやフェルナンド・トーレスなど世界的に有名なスペインの名前を見ると普通じゃないのと思うかもしれませんが、実はこれは彼らのフルネームではないんですよ。
ここではそんなスペインの人たちの名前についていろいろと紹介していきますよ。
スペイン人の名前はどうなってるの?

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スペイン人の名前は一体どうなっているのかなのですが、実はみんな苗字が2つあるんです。
これはスペインだけでなく旧スペイン領のメキシコでも同じなんですよ。
それではこのルールについて詳しく見ていくことにしましょう。
苗字は2つある
苗字が2つと聞いて結婚したら旦那さんと自分の苗字を2つ名乗るようになるんじゃないのと思った方もいるかもしれません。
実際南米ではこういう制度の国もありますよね。
でもスペインの人に苗字が2つあるのは夫婦別姓だからなんです。
夫婦が別々の姓を名乗っているため、子供はお父さんとお母さんの苗字を1つずつもらうことになるんですよ。
例えば
父 ハビエル・ロペス・ガリシア
母 マリア・サンチェス・ロペス
の場合
子供 (ファーストネーム)・ロペス・サンチェス
になります。
父親と母親どちらの苗字が先でもいいのですが、ほとんどの場合父親の苗字を最初にくるように両親が選択しています。
また子供が受け継げるのは父親と母親の1番目の苗字だけで、2番目の苗字を使うことはできないんですよ。
シングルマザーの場合はどうなるの?
お父さんとお母さんから苗字を一つもらうと聞いてシングルマザーだったらどうするのと思った人もいると思います。
シングルマザーでもお父さんがわかっていて一緒に登録してくれる場合は同じようにお母さんとお父さんの苗字を1つずつもらいます。
でも“お父さんがだれか全くわからない”、“わかっていても今後一切会うこともないので登録したくない”という場合もありますよね。
この場合子供はお母さんの苗字を2つとももらうことになります。
ただお母さんの苗字が“サンチェス・ロペス”の場合、子供は“ロペス・サンチェス”になる場合があるようです。
でもこのルールになったのは結構最近のようで、それまでは父親の名前がないと出生登録できなかったためシングルマザーは父親の名前を適当に考えて用紙に記入し、子供はその嘘の父親の苗字を名乗らないといけなかったようなんですよね。
これをしないとスペイン人が全員持たないといけないIDに一目でシングルマザーの子供とわかるような記載がされて、差別の対象になる可能性があったようです。
時代の流れに沿って、名前のルールもどんどん変わっていっているようですね。
名前は1つが多いけど2つの場合も
ここまで苗字について見てきましたが、ここでは名前(ファーストネーム)についても紹介しましょう。
スペイン人は名前(ファーストネーム)を2つまで持つことができることになっています。
なので名前と苗字を合わせて最大4つになる可能性があるんですね。
苗字や場合によっては名前も2つあるというのが、スペイン人の名前が他の国の人に比べて長い理由なんですよ。
とはいうもののスペイン人の特に若い人は名前は1つだけという場合が多いです。
逆に南米の人は名前が2つある場合が多いんですよね。
スペインでも一昔前までは名前が2つというのも珍しくありませんでした。
というのも独裁者のフランコが女の子はマリア(聖母マリアから)、男の子はホセ(マリアさんの旦那さんの名前)と名づけることを推奨していたんです。
それで当時のお父さん・お母さんは子どもに“マリア・レティシア”や“ホセ・アントニオ”と名付けることが結構あったといいます。
今はもちろん名付けは自由なので、好みの名前を1つだけというのが増えています。
でも今でもお父さんやお母さんの名前と他の名前を2つ組み合わせたり、ただ気に入った名前を2つつけたりすることもありますよ。
名前が2つの人は何て呼ばれるの?
スペインでは学校でも友達同士でも職場でも苗字ではなく下の名前で呼ばれます。
でも名前が2つある場合はどのように呼ばれるのでしょうか?
これは人によって変わってくるのですが、一番多いのは最初に来る方の名前で呼ばれるパターンです。
でも中には2つ目の名前をメインに使っている人もいます。
親や親戚などからは2つの名前で呼ばれることもあるものの、日常的にはどちらかの名前だけで過ごしている人がほとんどなんですね。
スペイン人の名前はカトリックの聖人からとる

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スペイン人の名前(ファーストネーム)はどのようにつけられると思いますか?
日本だとまず名前の響きを考えて、そのあと漢字を考えて、という感じですよね。
でもスペイン人の場合名前は基本的にカトリックの聖人からとるのが習慣になっています。
例外として伝統的には聖書に出てくるユダヤ系の名前を付けることがあったり、最近だと英語の名前を付ける人もいたりするのですが、大部分はこのカトリック聖人の名前という習慣を守っているんですよ。
両親共にスペイン人なのにもかかわらず子供に英語の名前を付けるのは、ちょっとキラキラネームっぽい響きになります。
だからスペイン人の名前はしょっちゅう他の人とかぶるんですよね。
子供のクラスにも同じ名前の子が何人かいたりすることも珍しくありません。
名前のバリエーションはスペインより日本の方が圧倒的に豊富です。
スペインで人気の名前は?
スペイン人の名前はカトリックの聖人からとるのですが、時代時代によって人気が集中する名前が出てくるようです。
ここではスペイン人に一番多い名前と最近特に人気の名前を男女別に紹介しますよ。
スペイン人男性に一番多い名前
スペイン人の男性に一番多い名前は“アントニオ”さんです。
たしかに旦那の親戚にもアントニオという名前の人が沢山いて、義理母の話を聞いているとどのアントニオさんとどのアントニオさんの話なのか分からないことが結構あったりします。
ただ大人世代にあまりに多いせいか、小さい子にアントニオという名前の子はあんまりいないんですよね。
アントニオがスペインで一番多い名前の座を他の名前に譲り渡す日もそんなに遠くないのではと思ったんですが、2番目に多い名前から8万人近い差をつけているのでまだまだこのまま1位でしょうね。
ちなみに2番目に多い名前はホセ、3番目に多い名前はマヌエルになっています。
スペイン人女性に一番多い名前
スペイン人女性に一番多い名前は“マリア・カルメン”さんです。
2番目に多い名前がマリアで3番目がカルメンなので、マリアとカルメンはスペインで特に人気が高いようですね。
マリア・カルメンという名前も最近の子供たちの間ではあまり聞きませんが、マリアちゃんやカルメンちゃんは今でも結構よく聞きます。
スペイン人男性の最近流行りの名前
それでは次にスペインで最近人気の名前を紹介しましょう。
最新のデータが2018年のものなのですが、この年に生まれた男の子に一番多かった名前は“ウゴ”だったようです。
ウゴは英語だとヒューゴになりますね。
ウゴくんはうちの子供たちの同級生にも確かに多いです。
その他“ルーカス”や“マルティン”それに“ダニエル”も人気のようですよ。
スペイン人女性の最近流行りの名前
2018年に生まれた女の子の赤ちゃんで一番多かった名前は“ルシア”になっています。
ルシアの英語版はルーシーですよ。
あんまり聞かないのでちょっと意外でした。
その他“ソフィア”や“マルティナ”それに“マリア”も人気があるようです。
わたしも自分の娘の名前を考える時にソフィアを最終候補の一つにしていました。
結局は違う名前にしたのですが、7年前は娘につけた名前の方がソフィアより人気だったんですよね。
名前の人気の移り変わりは結構早いのかもしれません。
スペインの人たちや文化についてもっといろいろ知りたい方はこちらの記事も見てみてくださいね。



まとめ
初めのところに書いたペネロペ・クルスはペネロペ・クルス・サンチェス、フェルナンド・トーレスはフェルナンド・ホセ・トーレス・サンスがフルネームになります。
日本人のわたしたちから見るとやっぱり名前が長いですよね。
スペインの公的な書類には“1つ目の苗字”と“2つめの苗字”という欄があるのですが、わたしのように外国人の場合2つ目の苗字は空欄でも全く問題ありません。
でもたまにショッピングサイトの登録などで“2つ目の苗字”が入力必須項目になっている場合は、苗字を2つ続けて入力するようにしたりしています。(日本でも国際結婚の場合は夫婦別姓OKなので、わたしは苗字を変えていません)
もしスペインの有名人のファンだという方がいたら、その人のフルネームを調べてみてくださいね。
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