不安の中スペインで約6か月ぶりに学校再開!保護者は安堵と心配に包まれる

Student Mask School Boy Face Mask - Alexandra_Koch / Pixabay

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新型コロナウイルスの感染拡大で3月上旬から休校になっていたスペインの学校。

休校のまま夏休みに入ったこともあり約6か月ものあいだ学校がなかったのですが、マドリードでは9月8日にとうとう再開されました。

ただスペインは8月からコロナウイルスの第2波がやってきて、各自治体で対策するも新規感染者の数が右肩上がり、9月に入ってからは1日の感染者数が1万人を超える日も少なくなく今やヨーロッパで一番第2波の被害が大きい国になってしまっています。

そしてこの学校再開については8月の下旬から国や州政府と教師の労働組合の間ですったもんだがありやっと決まった感があります。

ここではスペインの学校が再開されるまでの経緯と再開された学校の様子について書いていきたいと思います。

学校再開までの経緯

School Supplies Stationery Backpack - vimbroisi / Pixabay

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3月上旬に休校になってから6月下旬に夏休みに入るまでで学校にアクセスできたのは1回だけ、子ども達の成績表を取りに行った時でした。

その時点で学校再開について担任の先生が知っていることはなく、どうなるのかはマドリード州政府が新しく導入したHPとアプリによる保護者連絡システムを注意深く見ているようにと言われました。

アプリのPWをもらってかえってすぐにログインしてみたものの特に何の連絡もないまま夏休みが過ぎていきました。

スペインでは緊急事態宣言が解除されたすぐ後の7月は新型コロナウイルスの新規感染者数がおさえられていたのですが、8月に入ってすぐクラスターと感染者数の数がものすごいペースで増えて行くことになります。

そして学校再開を目前に控えた8月下旬、教師の労働組合が何の感染防止対策もしないまま学校再開するなら初日からストライキすると発表しました。

マドリード州政府が学校再開の新しい指針を発表

この教師の動きに加えて保護者から学校再開することに対する不安の声が相次いだこともあり州政府とスペインの教育省が会合を持つにいたります。

この会合後の8月25日わたしが暮らすマドリード州の知事は学校再開に向けてのプランを発表しました。

・新しい教師を約1万人増やし1クラスごとの生徒の定員を25人から20人に減らす

・学校再開前教師に抗体検査を実施する

・6歳以上(小学校1年生以上)のマスク着用義務化、それ以下の年齢でもマスクを強く推奨

・保育園から大学まで一斉にではなく段階的に学校を再開す

学校再開予定の日から2週間をきってやっと発表された指針をみて、これ本当に実現できるの?と保護者の不安は募るばかりでした。

教師への抗体検査の会場で凄まじい密が発生

州政府は一応約束通り教師が抗体検査を受けるための会場を用意したのですが、会場の数が少なすぎでさらに日程が1日だけだったため各会場で恐ろしい密ができました。

感覚を開けて並べないほどものすごい人数の列ができ、炎天下に何時間も並ばされたために熱中症で倒れる人までいたようです。

この様子はニュースでも取り上げられ、マドリード州政府のあまりに酷い段取りに保護者の不安が一層募っていきました。

学校再開直前になっても何も決まらない

マドリード州政府の新指針を受けて現場の学校も準備に追われます。

学校が再開される日については

2歳まで 9月4日

3歳から8歳まで 9月8日

それ以降 9月17日

と決まったものの、それ以外のことはなかなか決まらず再開が近づいても学校からは何の連絡もありませんでした。

それもそのはずで1クラスの人数を減らすとどうしてもクラスを増やさないといけませんが、校舎内の教室の数は限られているのでまず全体のクラスの数だけどう教室を確保するのかから問題になります。

うちの子どもたちが行っている学校では図書室や会議室だったところも教室にして使っています。

また追加で何人教師が必要か学校から州政府に申し入れたものの、直前までその人数分がちゃんと補填されるかどうか返事が来なかったようです。

実際学校再開された今も5歳クラスで追加されたクラスの担任の先生がまだ決まっていません。

うちの子2人は9月8日から授業再開だったのですが、密を避けるための登校の手順や感染対策に必要な持ち物などの連絡がきたのが5日の土曜日でクラス割りが発表されたのが1日前の7日でした。

学校再開への保護者の思い

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学校再開に向けてスペインの保護者はものすごく複雑な心境のようです。

特にマドリードは感染者数もその伸び方もスペイン内で群を抜いているので、学校再開に対して不安を感じる人が多かったんです。

ただスペインの教育省は義務教育でコロナ不安が理由で学校を休ませることは認められないと早々に発表しました。

しかも共働きがほとんどのスペインで、不安はあるものの学校再開されないと仕事を辞めるしかないというジレンマに陥っているママやパパもかなりいました。

スペインの学校では給食前の14時に学校が終了し希望者だけ残って給食を食べるのですが、給食が例年通りあるかどうかが直前までわからないままでした。

でも14時までに仕事が終わらない人は給食がないと子どもを迎えに行くために会社に時短勤務を交渉したり、下手をするとそれこそ仕事を続けることが難しくなります。(スペインでは小学校卒業までは学校の送り迎えが必要)

結局給食も提供されることになったものの、どうしても食堂で大人数で食べることになるのでそれはそれで心配ととにかく保護者もどうしていいのかわからなくなってしまっているようでした。

わたしの場合も上の娘は喘息持ちだし、わたしも持病持ちなので学校再開は不安の方が大きかったです。

でも休校中の子ども達の様子を見ていると5歳の息子はともかく8歳の娘は家で親といるだけでなく学校で友達と勉強したり遊んだりするのが必要だと感じていました。

こうして親もおそらく政府も何が正解かわからないまま、とうとう学校が再開されることになります。

スペインの再開後の学校の様子

Pencil Sharpener Glasses School - Djingbin / Pixabay

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スペインで学校が再開されたのですが、子ども達の学校では学年ごとに登下校に使う門が分けられて親は中に入れなくなっています。

そして子供たちは校庭や中にはに列になって担任の先生が迎えに来るのを待って、その場で検温とジェルで手を消毒してから他のクラスと時間差で教室に入って行きます。

またマスク着用が義務の6歳以上の子たちはもちろん、それより小さいクラスの子もほぼ全員マスクをしています。

そして6歳以上の子たちは休み時間にスペアのマスクと手の消毒ジェルを入れたウエストポーチを持ち歩かないといけないことになりました。

とはいっても子どもがソーシャルディスタンスを守るなんてありえないので、やはり感染の危険はかなりあると思います。

政府は“新型コロナウイルスに関しては子どもにとって学校より安全な場所はない”と言っていますが、それを信じている親は1人もいません。

かといって政府や学校を責めれば解決することではないというのもみんなわかっているので、親としてはとりあえず不安を抱えながらも学校に行かせるしかないという状況です。

早くも学校で感染者が発生

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9月8日から学校が再開した初日で53の学校がコロナ陽性発生で休校になったというニュースが9月10日に流れました。

アンダルシアなどは学校再開がマドリードより遅かったので、ほとんどがマドリードの学校じゃないのかなと思っています。

また9月11日にはスペインのレオノール王女と同じクラスの子が陽性になったため、王女が2週間隔離生活に入るというニュースも飛び込んできました。

やはりどれだけ気を付けていても学校がノーリスクなんてことはありえないです。

学校再開されたとは言っても今後いつまた休校になるかもわからなければ、わたしやわたしの子どもが感染したのがきっかけで学校休校みたいなことになる可能性もあるのでやっぱり怖いです。

かといって感染リスクがあるからと言ってずっと休校にしておくのが子どものためになるかというとそうでもないので、本当に何が正解かわからなくてどうしてあげればいいのかわからないです。

まとめ

すったもんだの末再開したスペインの学校ですが、明日いきなり休校になってもおかしくない綱渡りの状態で運営されています。

もし学校でクラスター多発で病院のキャパを超えるみたいなことになったら例え警察から指導が入っても子供を学校に行かせないつもりですが、学校であったことを楽しそうに話す子供を見ているとやはり今は学校に行かせる方がいいのかなとも思っています。

本当にもう早くワクチンなりができてコロナが収束してくれないかなと願うばかりです。

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