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9月末、スペインの1日の新型コロナウイルスの新規感染者の数は連日1日1万人を軽く超えています。
東京の感染者が200人台で心配される日本の状況と相当違いますよね。
そしてこの新規感染者数のとんでもない伸び方を8月末から引っ張っているのがマドリードです。
第1波の被害がスペインの他の地域と比べ物にならなかったこの地域は、その経験を全く生かさないまままたたくまま第2波もけん引する地域になってしまいました。
わたしはマドリード県のアルカラ・デ・エナレスという町に住んでいるのですが、最近では子供を学校に連れて行くのも外を散歩するのも正直怖いです。
しかもマドリードの新型コロナウイルス対策をめぐり中央政府と州政府が衝突するという事態にもなっていて、正直今後どうなるかもものすごく不安です。
ここでは9月末時点のスペインマドリードの新型コロナウイルスをめぐる混乱について書きたいと思います。
マドリードの新型コロナウイルスをめぐる状況が深刻に

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スペインは8月に入ってから各地で新型コロナウイルスの第2波が起こり始めました。
最初に感染者が増えたのがバルセロナがあるカタルーニャ州やスペインの北部で、この頃はマドリードの新規感染者の数は他の地域に比べてかなり少なかったんです。
でも後にマドリードの感染者数が少なかったのは、感染者の行動を追跡する人の数が極端に少なかったからだというのが発覚します。
追跡班を増やすのはマドリードが政府に約束していたことだったのですが、平気で反故にしていたようですね。
スペインの各地で新規感染者が増え始めた頃その半分以上は無症状感染者でした。
ところが8月の中旬以降マドリードで感染者の数が増え始めた時には、すでに感染者の中の症状が出ている感染者の割合が高くなってしまっていました。
つまりこの時点ですでにアウト・オブ・コントロールです。
そこから9月末までマドリードの状況はみるみる悪化していき、ついにとうとう病院関係者から入院患者の数と状況が緊急事態宣言と時の悲惨な状況に戻りつつあるという証言も出てきました。
わたしはマドリード県に住んでいるのですが、正直ちょっと外を散歩したりスーパーに行くのも怖い感じになってきてしまっています。
道行く人の様子もピリピリした感じになってきました。
学校が混乱
スペインの学校は例年9月上旬に新年度が始まります。
ただ今年は8月末から新型コロナウイルスの第2波が深刻になっていたため予定通りに再開できるのか不安視されていたんです。
学校再開までの詳しい経緯はこちらをご覧ください。

ただ政府や州が学校再開をどうするか考え始めたのが再開予定の2週間前とほとんど時間がなかったのもあり、特にマドリードでは教師の補充が間に合わず小学校の半分以上のクラスで未だに担任が決まっていない学校も珍しくないようです。
うちの子どもたちが通う学校も教師が足りないために、9月末になっても未だに時間割が決まっていません。
しかもすでにクラスメイトに新型コロナウイルスの陽性者が出たために学級閉鎖になったクラスが、うちの子どもの学校だけでも既に3クラスあります。
しかもこういった情報は学校から一切他のクラスの保護者に知らされることはなく、保護者会会員のママからの噂話として耳に入ってくるような状況です。
陽性になった子が出たことによる要学級閉鎖はスペイン全土で起こっていますが、やはりマドリードとカタルーニャで特に多いです。
しかも陽性が出た場合学校からではなく保健所的なところからそのクラスの家庭に直接連絡が入り、子どもたちはみんな症状がなくてもPCR検査を受けないといけなくなっているらしいんです。
検査を受け入れる地域の診療所はおそらくてんやわんやだと思いますし、14日間学級閉鎖になるにもかかわらず何の症状もない子まで全員PCR検査をわざわざしないといけない意味がよくわかりません。
正直これから子どもたちが一体何かい検査を受けないといけなくなるのか想像できない感じです。
中央政府とマドリード州政府が新型コロナウイルス対策をめぐり衝突

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スペインの現在の中央政府はサンチェス首相率いる左派政党のPSOE中心の連立政権です。
対してマドリード州はわかりやすく言うと右派政党でPSOEの最大のライバルのような存在のPPによる政府になっています。
そのため緊急事態宣言中から中央政府とマドリード州政府の間で不協和音が聞こえてきていました。
さんざん中央政府を批判していたマドリード州の知事ですが、第2波が自分の手に負えなくなった途端急に中央政府に助けを求めます。
そしてサンチェス首相は首都の危機的状況をなんとかするためマドリード州政府からの呼びかけに答え、政府と州共同の対策会議を設置することを決めました。
スペインではロックダウンなどの強力な感染対策を決定するのは各州政府になっていて、例えば週に緊急事態宣言を出してほしい場合は知事が政府に要求する必要があります。
そしてこの対策会議に先駆けマドリード州政府はマドリード州内の特に感染者が多い37の地域をロックダウンすることを決定します。
でもその37の地域だけレストランの定員や会合できる人数の数を減らしたところで、そこに住んでいる人は他の地域に仕事に出れるし学校は開いてるしでこの措置の効果に疑問を抱く人が多かったんです。
この措置が発表された次の週に政府とマドリード州政府の追加の対策を話し合う合同会議が開かれたのですが、これが完全に決裂に終わったことが明るみに出ました。
マドリード州政府の対策に中央政府の保険大臣が真っ向から反論
9月25日にマドリード州政府はロックダウンされる地域を37地域から45地域に拡大すると発表しました。
しかしこれを発表する州政府の会見と同時刻に中央政府の保健大臣が会見を開き、マドリード州は首都のマドリード市だけでも全域をロックダウンすべき。そうしないと病院機能が収週間以内にまた完全にパンクするだろうと警告を発したんです。
スペイン政府がロックダウンを考える基準として示しているのはその地域で10万人当たり500人の感染者が発生した場合です。
そして今現在マドリードの4分の3の地域がこの基準に該当します。
しかもマドリードはICUの占有率が90%を超えるなど、病院の状況もひっ迫しています。
なので政府が警告を発するのもわかるんですよね。だってマドリード州政府の顔を立てて死者が急増みたいになると、政府の責任も問われますから。
対してマドリード州政府はロックダウンの基準を独自に10万人当たり1,000人の感染者が発生した場合と考えています。
今回ロックダウンされることになった45地域以外にも10万人当たり1,000人以上の感染者が出ているところもあるのですが、州政府は何とかロックダウンする地域を少なくしようと躍起になっています。
理由は簡単で大規模ロックダウンをすると経済が瀕死の打撃を受けるからのようです。
たしかに新型コロナウイルスはスペイン経済に凄まじい打撃を与え、雇用もボロボロになっています。
でも小規模ロックダウンで済ませたかったなら、なんで病院の状況がもう少しましなうちに対策しなかったんだろうと思ってしまいます。
11月の初めに息子を眼科に連れて行かないといけないのですが、それまで通常診療が続いているか怪しくなってきました。(緊急事態宣言中マドリードではお医者さんは専門とか関係なく全員コロナの患者の治療にあたっていた)
まとめ
海外で暮すということはこういう場合のリスクを全部受け入れたうえでのことだというのはわかっています。
ただ今回スペイン政府とマドリード州政府の様子を見ていて、本気でここに住んでいて大丈夫かなと怖くなってきました。
なによりこんな状況の中子供を学校に行かせて何かあったらと思うと・・・。
それでも自分が今できることは感染対策を続けるだけというのがもどかしいです。
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