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どんどん身近なものになってきた国際結婚。
国際結婚をしていたり親戚や友達それにご近所さんに国際結婚カップルがいるという方も沢山いらっしゃるのではないかと思います。
わたし自身も国際結婚をしてスペインに住んでいますが、スペインで何組も日本人とスペイン人やその他の国の国際結婚カップルに出会いました。
そこで気になったのは日本における国際結婚の歴史です。
江戸時代まで鎖国をしていた日本で一体どのように国際結婚できるようになり、そして最初に正式に国際結婚をした日本人は一体だれなのか何となく気になりますよね。
そこで日本の国際結婚の歴史について調べてみたので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
日本における国際結婚の歴史
日本において国際結婚が公的に認められるようになったのは幕末の1867年に幕府が条約を締結した国の人と日本人が結婚するのを認めるという通達を出した時からです。
正式に国際結婚に関する法律ができたのはその6年後明治時代に入ってからで、その法律は「内外人婚姻規則」と呼ばれています。
この法律ではなんと外国人と結婚した日本人女性は日本国籍を失うとされていました。
今から考えると驚きですよね。
日本人男性が国際結婚した場合は日本国籍はそのままで、日本人女性も外国人男性が養子入るなら日本国籍はそのままでその代わり旦那さんが日本国籍になったようです。
この頃の日本では今のように異なった国籍の男女が夫婦になるという感覚ではなく、国際結婚というと特に女性にとっては日本国籍を失うかどうかというものすごい大問題が同時にのしかかってくることになったんですね。
いまでは日本はもちろん世界の多くの国で、国際結婚をしたからと言ってすぐに国籍が変わることは稀です。
中東の一部の国は今でもその国の人と国際結婚すると配偶者にその国の国籍が自動でもらえるようですが、多くの国で結婚と国籍は切り離して考えられていますで。
でも日本で「内外人婚姻規則」が制定された頃は、ナポレオン法典の影響で世界でも国際結婚をして女性は国籍が変わるというのがある意味常識とされていたようです。
その後1899年(明治32年)に国籍法が制定されましたがこの時もまだ日本人女性が国際結婚すると日本国籍を失うという規定が残ったままでした。
1916年(大正5年)の国籍法改正ではじめて日本人女性が国際結婚をしても日本国籍を失わなくてもいいケースが追加されましたが、それは国際結婚した日本人女性が相手の国の国籍を取れない場合だけと相当条件が狭かったんです。
この時代はまた家族全員同じ国籍でないといけないと国籍法で決められていたんですよね。
今のように国際結婚と国籍が切り離して考えられるようになったのはなんと1950年(昭和25年)。
戦後の新憲法のもとで国籍法が刷新されたときでした。
日本で最初に国際結婚が認められるようになったのは外国からの圧力
日本で国際結婚が認められるようになった時期を見てもらうと何となく想像が付きますが、日本で国際結婚が認められるようになったのは日本が自発的に言い出したのではなく外国からの圧力がかかったからです。
とくじ鎖国から開国それに近代国家への歩みを進める中で、どうしても国際結婚を法律という形で定める必要がありました。
そのため国際結婚で日本人女性が国籍を失うと定義されていたにもかかわらず、日本国籍とは何かについて定めた国籍法の方が20年以上も後にできています。
日本で最初の国際結婚
次に日本で最初に国際結婚が認められたケースについて見ていきましょう。
ここでいう最初にというのは、最初に法的に認められて記録が残っているという意味になりますよ。
日本で最初に国際結婚したのは南貞助という長州藩士で高杉謙信の従弟で義弟にあたる人です。
南貞助は高杉謙信のすすめで幕末にイギリス留学し、明治時代に入ってからも再びイギリスへ渡り法律などを勉強しました。
この2回目の渡英で出会ったライザ・ピットマンというイギリス人女性と結婚しています。
この2人の結婚がイギリスで認められたのが1872年で日本で認められたのが1873年です。
1873年というと日本で最初の国際結婚に関する法律「内外人婚姻規則」が制定された年。
この法律が制定されたのはイギリス政府からの強い要請もあってのことだったと言われていますよ。
イギリスで初めに結婚した2人は後に日本で一緒に暮らしていましたが、子どもはいませんでした。
でも日本での生活はライザに合わなかったようで、結婚から10年程で離婚しています。
南貞助の前にも外国人と結婚した日本人はいた
「内外人婚姻規則」ができる前にも外国人と夫婦関係になった日本人はいました。
江戸時代の前は貿易などで外国人が日本に来ることもあったので、日本に来た外国人と日本人が出会って夫婦のような関係になるというのはある意味自然なことに思えますね。
有名なところでいうと徳川家康に仕えたウィリアム・アダムスとお雪、シーボルトと楠本たきさん等がいます。
またわたしが暮らすスペインには日本という意味の“ハポン”という苗字を持つ人がいるのですが、地元ではこの人たちは1614年にスペインのセビリアの近くに漂着した支倉常長が率いる慶長遣欧使節の乗組員のうち何人かがスペインの地に残り地元の女性と結婚し子孫を残したからだと言われているんですよ。
正式にデータが残っていないだけで日本での国際結婚の歴史は明治時代よりさらにもっとさかのぼることができそうですね。
まとめ
日本で“国際結婚”という概念ができ政府が認めたのは幕末から明治時代初期にかけてのことです。
それまでにも日本人と外国人の夫婦はいたようですが、国籍などの権利関係を外国からの要請もありはっきりさせたのがこの時期でした。
それにしても以前は外国人と結婚した日本人女性は日本国籍を失うことになり、しかも戦後までこのルールが続いていたというのには驚きました。
今のように自分の国籍を持ったまま自由に国際結婚ができるようになってから60年くらいしかたっていないんですね。
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