クリスマス前に新型コロナウイルス感染拡大を抑えるための規制を緩めたスペイン。
クリスマスから1週間くらい経った時点ではあまり感染者数が増えてきていなかったのですが、1月2週目に入ってからスペイン全土で恐ろしいスピードで感染者が増えてきました。
感染者の割合が人口10万人当たり1000人を軽く超えるような州も山ほどあり、スペイン中で医療体制の圧迫が深刻になってきています。
1月22日の金曜日に発表された新たな感染者数は42,885人で過去最多、死者は400人。土曜と日曜日は感染者数の発表はないものの、逆に月曜日に3日分まとめて発表される数字はとてつもない数になると誰もが予想しています。
第2波の被害を軽く超えて第1波に近づいているのではと言われるこの第3波を前にして、スペイン政府はなんと積極的な規制強化を避けているんですよね。
スペインの保健大臣がカタルーニャの知事選に出馬
パンデミック発生当時から新型コロナウイルスの対応にあたっていた保健省のイジャ大臣がカタルーニャ州の知事選に立候補するという衝撃のニュースが舞い込んできたのが去年の年末。
選挙は2月14日なのですがイジャ大臣は今もまだ保険大臣として職務に当たっていて、辞任するのは選挙の直前になると予想されています。
カタルーニャの選挙はほぼ全政党の賛成で延期することが決まったのですが、カタルーニャ州の裁判所が延期に法的根拠がないとしてその決定を覆したため元の日付で強制的に開催される運びになっています。
イジャ大臣は州知事たちからの緊急事態宣言によって定められた夜の外出禁止の時間を前倒ししてほしいとの要求を拒否しています。
「クリスマスの時期に緩めた規制をもう一度引き締めるだけで感染者を減らすことは可能」というのが拒否の理由だったのですが、スペイン中がこの理由に懐疑的です。
実は今カタルーニャで選挙をしたらイジャ大臣が勝つという予想が出ているんです。なので他の政党からは自分が選挙で勝つために(これ以上規制が厳しくなったら裁判所が選挙延期を認める可能性もある)対策を送らせているという批判もちらちら聞こえてきています。
ムルシア州で新型コロナ以外の緊急性のない診療と手術が全て延期に
スペインの新型コロナウイルスの第3波は感染者数が増加傾向になってからの増えていき方がものすごく早く、しかもスペイン全土で同じ傾向です。やっぱりクリスマス休暇で想像以上に感染が広がってしまったんでしょうね。
第1波や第2波の時に感染者数の増加がさほど深刻ではなかった地域も第3波では深刻な状態になっています。その代表がアンダルシア地方でここ数日連日1日の感染者数が過去最大を更新し続けています。
そしてムルシア州は1月23日にとうとう新型コロナ患者以外の緊急性のない診療と手術をキャンセルすると発表しました。
本来だと新型コロナとは関係ない科のお医者さんも新型コロナの対応に回らないといけないくらいの状況になっているということです。
これは第1波の時のマドリードやバルセロナと似たような状況で、医療体制が崩壊しかかっていることを示しています。
マドリードもとうとう規制強化へ
このブログで第2波の時にも書いたのですが、マドリードは経済重視の右派政党がトップなのもあって新型コロナウイルスが結構広がっても規制強化に消極的だったんです。
マドリードは大雪で家の外に出られない期間が1週間くらいあったのもあって、今回は前回までのように感染拡大のトップを行っているわけではないにもかかわらず急遽規制を強化することが決定されました。
・22時以降の外出禁止(これまでは24時以降)
・レストランやお店は21時までの営業(これまでは22時まで)
・4人以上で集まることを禁止(これまでは6人以上)
・家に人を招くのを禁止
家に人を招くのが禁止になったのはロックダウン解除以来今回が初めてです。マドリード州政府がここまで危機感を強めているのは英国型の変異種が原因なのではと勝手に予想しています。
3月までにスペインでの新型コロナ感染の80%が英国の変異種に?
スペイン政府は3月までにスペインでの新型コロナ感染の80%が英国の変異種によるものになるだろうという予想を発表しました。
12月末時点では全体の感染者数のなかの英国型変異種の割合が1%くらいだったのですが、2月23の時点で20%くらいにまで増えてきているとする検査結果を出す州も出てきています。
割合の増え方が急すぎて怖いですよね。
感染率が高く死亡率も高いという話が出てきている変異種がスペインで猛威を振るう日も近いと思うと本気で気がめいります。
従来型のコロナウイルス感染が全体の80%以上の段階で4万人を超える事態になっているのに、それが変異種に置き換わったら一体どんな事態になるのか・・・・。
想像するのも嫌になります。
現在のスペインの様子
感染者数が数字上で過去最大を更新する中、流石にスペインの人たちの間にも相当な不安が広がっています。
今日は土曜日に限らず外を歩いている人がほとんどいませんでしたし、カフェやバルは数日前から既にガラッガラです。大雪の被害が落ち着いてやっと営業できるようになったのにこれでは、飲食関係者の方達はかなり厳しいだろうなと思いますね。
第2波の時より危機感が強いみたいで、FFP2マスクをしている人がめちゃくちゃ増えました。(ドイツやフランスではFFP2マスク推奨になっていますがスペイン政府はそこまでする必要ないと言っています)
冬休みが終わったのと同じタイミングで感染者が増え始めたのもあって、子ども用のFFP2マスクがすごい勢いで売れています。
丁度昨日ママ友と話していたのですが、近くの高校で1月21日に5件、1月22日に陽性者が発生したと聞いてさすがに怖かったです。
スペインでは高校受験がなくみんな小学校から持ち上がりで近くの高校(日本でいう中学+高校)に行くので、近くの高校でコロナが大量発生=近所にコロナが広がっている、なんですよね。
わたしは持病があるのもあり今回ばかりは普段使いのマスクもFFP2マスクに変えました。サージカルマスクじゃもう怖くて外を歩けません・・・。
追記:何とか感染者数が減少傾向に
2月18日 この記事を書いてから1か月ほど経ちました。各州が厳しい規制をしたのもありここ2週間ほどで感染者がかなり減少してきました。
一時はどうなることかと思ったのですが、ICU崩壊という最悪の事態は防げたのでとりあえずは良かったです。
一時期はスペイン全体での14日間の10万人当たりの感染者数が800人を超え、州によっては2,000人以上(!)になっていたのですが、今はスペイン全体の10万人当たりの感染者数が300人台になっています。
といっても新型コロナがコントロールできている指標は発生数が10万人当たり250人以下なので、世界的に見れば多いんですけどね。
それでもマドリードのわたしが住んでいる市は一時14日間の10万人当たりの発生数が1,000人を超えていたので、大分よくなった方でしょう。
ただマドリードは他の週に比べて感染者数の減少ペースが遅いんです。今日の時点でまだ14日間の10万人当たりの発生数が500人を超えています。
しかもこの原因はイギリスの異変株に感染している人の割合がかなり多くなってきたからだと分析されています。
感染者が減ったとはいえまだまだ安心はできないなという感じです。
まとめ
スペインの新型コロナウイルス第3波の勢いは相当なもので、今の規制が機能したとしても感染者数が減ってくるまでにあと2週間ほどかかるだろうと言われています。
それまでこの調子で増え続けて果たして病院が持つのか・・・。
老人ホームでのワクチン接種が始まっているので第1波のようにはならないと予想されているものの、変異種がどう広がるかによっては完全に大丈夫とも言えないでしょうね。
今回ばかりは近所でクラスターとか起きてそうで流石に怖いし、何より子供の学校が心配です。
子ども達は学校でマスク着用しないといけませんが、今までのような布マスクで大丈夫なのかどうか・・・。
子ども2人に毎日FFP2マスクとなると流石に経済的に苦しいのですが(安くて1枚€1くらい)、来週1週間はそうした方がいい気がしています。
というかまた休校になってもおかしくないのですが、感染が減少傾向になるまではそうする方がいいんじゃないかとも思っています。
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