レアル・マドリード、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッドを中心に、スペインとイタリアとイギリスの12クラブが発表した欧州サッカーのスーパーリーグ構想。
大々的に打ち上げられたもののあらゆる方面から凄まじい批判を受けて公表してから48時間で計画が頓挫してしまいました。
現在イギリス勢は全クラブ離脱を発表し、スペインとイタリアの数チームだけが残っている状態です。
イギリスはサポーターが怒りの抗議を続け、ジョンソン首相までかなり厳しく批判した様子が日本でも伝えられていますが、言い出しっぺともいえるレアルがあるスペインの様子はあまり報じられていませんよね。
そこでここでは源氏在住のわたしがスーパーリーグをめぐるスペインの様子を紹介したいと思います。
スーパーリーグをめぐるスペインの様子
それではまずスーパーリーグをめぐるスペインの様子なのですが、めちゃくちゃ静かです。
スペイン人のサッカーに対する情熱はすさまじく、何かあるとすぐサポーターが集まって祝福や抗議をするというのがよくある光景です。
でも今回のスーパーリーグ構想に関しては、少なくともサポーターたちは特に目立った行動は起こしていません。
イングランドはスーパーリーグ構想が発表になるや否や構想に参加すると表明したクラブのサポーターが大々的な抗議をはじめ、政治家まで巻き込んだ凄まじい批判が巻き起こりました。
正直スペインでもそういった動きがあるのではと思ったのですが、ほとんどなかったですね。
イングランドは新型コロナウイルスによる規制が緩和されているのに対してスペインは大勢で集まることをまだ許可されていないからという理由もあるかもしれません。
ただレアルやバルサのサポーターが怒ったら、そんな規制関係なしに集まりますからね。
正直あんまりニュースでもこれだけのニュースであるにもかかわらずそこまで大々的に取り上げられていないし、どちらかというと冷めた目で見ている人が多い印象です。
選手や監督からの声明も特に無し
イングランドは現場の監督や選手からもスーパーリーグ構想に対する批判の声が多数きかれました。
特にブライトンの監督の「サポーターを消費者と勘違いしているんじゃないか」というコメントが痛烈でしたね。
ただスペインではラ・リーガの監督や選手もあまり目立ったコメントはしていません。
プレミアリーグでは現場はこのスーパーリーグ構想について一切知らなかったようですが、スペインのクラブでは秘密事項じゃなかったんじゃないのと疑ってしまいます。
ラ・リーガ関係者がレアルのフロレンティーノ会長を痛烈に批判
とはいうもののスペインでももちろんスーパーリーグ構想に関しては否定的な意見が主流です。
特にラ・リーガの会長はこの構想を主導したレアルのフロレンティーノ会長を痛烈に批判しています。利己的だと構想自体を切り捨てるとともに
「UEFA、欧州リーグ、リーガはこのスーパーリーグ構想への対応について長い間準備をしていたし、適切に対処されるだろう」
と語ったとのことなのですが、今後一体どうなって行くのでしょうか・・・
レアルはイギリス勢なしでもスーパーリーグを進める考え
スペインからスーパーリーグに参加を表明していたのは
・レアル・マドリード
・アトレティコ・マドリード
・バルセロナ
の3チームです。
この中ですでにアトレティコ・マドリードはスーパーリーグからの離脱を表明し、バルセロナもソシオネ大会で意見を聞いてから決めると態度を後退させています。
さらにイタリアでもACミランとインテルが脱退を表明しました。
ということで今まだ残っていて計画に乗り気なのはレアル・マドリードとユベントスだけということになります。
そしてレアルのフロレンティーノ会長はまだこの状況になってもスーパーリーグ創設を諦めていないようなんですよね。
なにせスーパーリーグの初代会長ですからね。思い入れが違うんでしょう。
ただこの状況から起死回生するのはほぼ無理なんじゃないかというのが大方の見方になっていますよ。
そもそもスーパーリーグは何が問題だったのか
スーパーリーグを立ち上げようとしたビッククラブの頭にあるのは「UEFAが適切に利益をクラブに還元していない」という不満でしょう。
そして選手の中にもUEFAが試合を増やし過ぎることによる疲労の問題も指摘されていました。
それにもかかわらずスーパーリーグがここまで総スカンを食らったのはなぜなのでしょうか。
スーパーリーグの問題点
スーパーリーグはスペイン・イタリア・イングランドの強豪サッカークラブ12チームと他3チームの15チームに毎年入れ替わりの5チームを含めた20チームによる多国籍リーグです。
今世界的な人気を誇る欧州チャンピオンズリーグに変わる大会として発足する予定でした。
コンセプトだけさらっと聞くと面白そうと思うかもしれませんが、大会の構造自体にすでに問題があります。
・15チームは固定で最下位でもリーグに残り他の5チームは好成績でも1年で入れ替わらないといけない不公平さ
・ビッククラブを集めても目新しいのは最初だけ
欧州CLは国内リーグで上位になればどのチームも出場でき、そこでトーナメント制のガチの勝負が繰り広げられます。
対してスーパーリーグは発足当時から参加する15チームはどんな成績でも降格することはないですし、他の5チームはどんなに好成績でも残留することはできないというおかしな状況になります。
試合数が多いとそれだけクラブ収入も増えますし、そう考えるとビッククラブだけが儲かってその他のチームは切り捨てというものすごい不公平さが生まれます。
そしてこのリーグ自体の問題点に加えこういったマイナス要素も加わりました。
・フロレンティーノ会長の説明が最悪だった
・アメリカの資本が動いた
・UEFAとFIFAが激怒した
・イギリスは政府が阻止に動いた
フロレンティーノ会長がスーパーリーグ構想について語った内容は正直本当に酷かったです。
・コロナウイルスによる損失を補填するのにスーパーリーグが必要(発足すれば無条件で参加チームに数百億円入る予定だった)
・若者の間でサッカー離れが起きているのはビッククラブ対下位チームの試合が面白くないから
結局金かよ、下位チームもあってのリーガじゃないのかよ、といった感じですよね。
しかもスーパーリーグに出資するのは、おそらく欧州サッカーの歴史なんて知らないアメリカの資本家だったことも反発を大きくしました。
正直サッカーの魅力ってビックマッチだけじゃないと思うんです。プライドとプライドがぶつかり合うダービーマッチとか、その年のダークホース的なチームの快進撃とか、残留と降格をかけた入れ替え戦とか、いろんなドラマがあるからこその人気ですよね。
今回のスーパーリーグ構想に対してUEFAとFIFAは激怒しました。
これが純粋にサッカーを守るためなのか自分たちがお金儲けできなくなるから困るという考えからなのかはわかりませんが、スーパーリーグに参加するクラブの国内リーグ、CLからの追放や、選手の代表選の出場資格停止まであらゆる制裁をちらつかせていました。
結局この圧力は不当だとEUとスペインの裁判所が決定したのですが、ここまでやられてこのまま制裁なしで黙っているとも思えません。
今後もこの騒動の影響はまだまだ続いていくのではと思っています。
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